■文字列

●C言語における文字列（復習）

• コンピュータの中で文字を扱うために， 文字ごとに数値（ビット列）が割り当てられている． それをコード（符号）化と呼び， その値のことを文字コードと呼ぶ．
• 通常，英数字を表現するには1byteの文字コードが使われる． どの文字にどのコードが割り当てられるかは， JISやISOの規格として定められているが， 俗にASCII(アスキー)コードと呼ばれる．
• 文字列は任意の数の文字の連なりである． その長さはあらかじめ定まっていない．
• 長さの定まっていないデータのことを可変長データと呼ぶ． コンピュータの中で，可変長のデータを表現するためには， あらかじめ大きめの器を用意しておくのが簡単である． そして，その先頭からデータを格納し， 実際に使われているデータを示すために，以下のような方法を用いればよい．
  • データの長さを別の場所に記憶しておく．
  • データの最後に特別な印を置く．
  C言語の文字列では，後者の方法が採られている．そして，
  • 「大きめの器」としては文字(char)型の配列が
  • 「最後の特別な印」としては， ヌル文字(コード値が0の文字)が
  使われる．
• 言い換えれば，C言語の文字列は， 文字型の配列に特別な約束を追加したものである．
  

        C言語の文字列 = 文字型の配列 + 終端のヌル文字
  

  文字列を格納する配列には，実際の文字数+1以上の要素数が必要である． +1は画面には表示されないヌル文字の分．
• C言語の文法では，文字定数を表すのに「'」(シングルクォーテーション)， 文字列定数を表すのに「"」(ダブルクォーテーション)が使われる．つまり， 「'A'」 と 「"A"」 は全く別物である．
• 標準ライブラリには，文字列の入出力や加工を行なう関数が用意されている． それらの関数では， 文字列はヌル文字で終っているという前提で引数には配列変数名だけを与える．
• 宣言の際に，文字配列を文字列定数で初期化できるが， 文字配列に文字列の代入はできない． 代りに，標準ライブラリ関数のstrcpy()を使う．
  

        ○char s[10] = "Osaka";
  
        ×s = "Kyoto";
        ○strcpy(s, "Kyoto");
  

●ポインタを用いた文字列処理

• 前節において，文字列を入出力する関数では， 文字列を表すために配列変数名を渡すと説明したが， 正確には，必ずしも配列である必要はなく， 文字型を指すポインタで構わない． ポインタの指す場所が先頭であると見なし， ヌル文字が現れるまでを一連の文字列として処理する．
• 文字列を処理する場合は，文字を順に走査することが多いので， ポインタを使うと，処理が効率よく表現できたり，簡潔に記述できることが多い．

例1-5 example15.c

文字列を表す文字配列の各要素を確認する．'\0'より後の要素は， 文字列として扱う場合は無視される．

文字列を扱う関数に文字配列ではなく， 文字型を指すポインタを与えた場合にどうなるか調べる （ここではprintf()の書式指定"%s"に対する振る舞い）． ポインタの値が変化した場合に，文字列としてどのように見なされるか?

例1-6 example16.c

例1-7 example17.c

引数で与えられた文字列を先頭から順に走査し， 小文字の文字を大文字に変換する関数のテストプログラム．

example16.c → 「配列版」

関数内の文字列に対する処理を配列を使って記述したもの． 文字列の中のある文字にアクセスする場合に，s[i]という表現を用いる．

example17.c → 「ポインタ版」

関数内の文字列に対する処理をポインタ使って記述したもの． ポインタ変数の値を変化させて文字列を走査している．